そうそう、一年生の僕らは、「はりねずみと兎」という短文を読まされた。うさぎ年生まれの僕は、イソップ寓話「うさぎと亀」でも、どうも、うさぎは分が悪いのに不満があったが、モンゴルでもうさぎは、余りよく思われていないのだなぁ、と感じたものだ。
昔あるとき、うさぎがハリネズミに、「どうして君は汚い針の上衣を着ているの」と聞いた。
「君の言う通りだよ。この針は、狼や犬から身を守るためだよーでも、君のきれいな毛皮は君を守ってくれるの」
「僕の毛皮は僕を守ってくれない」
面目を失ったうさぎは「私の早い足が私を守ってくれる」と言った。
うさぎは、なんだか、傲慢な動物として描かれる。日本では、月にいるのが兎と、教えられたせいもあって、悪い印象はない。
モンゴルでも、月に兎がいると思われていたなら、もっと違ったかもしれない。モンゴルでは、水汲みの少女がいると、されている。月面の陰影を、兎でなく、水汲みの少女に見立てているからだ。
今、窓から夜空を見上げると、真ん円の月。兎が確かに居る。
あす、12日が満月。