猛暑に、毛だらけのヤクを想う

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 この夏の暑さは、全身毛で覆われる動物にとって厄介だ。といっても、わが家の猫のことだが、冷房を入れないことが多いので、陽の当たらない奥の部屋で、グタっと横になって居る。
 
 写真はモンゴルの、ヤク(モンゴル語ではサルラク)。体中長い毛で覆われている。はじめて間近に見た時は、ギョっとした。顔にも長い毛が覆い、怪獣のように思えたのだ。
 
 チベットが原産らしく、モンゴルでも山岳地帯の方に生息している。写真も、ウランバートル北のテレルジへの途中だった。
 
 涼しい、あるいは寒冷の、山岳地帯にしか生息できないわけが、この夏分かったような気がする。こんな毛むくじゃらじゃあ、夏に汗でもかいたら、たまらない。
 
 このヤクの毛は輸入された。徳川家康が兜につける飾りとして愛用したので、殿様たちの間で流行したという。
 
 モンゴルでは、あまり、ヤクは好まれなかったか、仏画などの絵画や民画でときどき見かける程度だ。  2000年前の北モンゴルにある「匈奴」の墳墓、ノインウラ遺跡から、下のような円牌が出土した。
 
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 「ヤク」らしい。本棚にあった「考古学研究」創刊号(昭和2年)にコズロフ探検隊の発見品」という巻頭論文があって、W・P・イーツという学者が、中央アジアでよく見かける「犂牛」=ヤクと断定している。
 
 モンゴルに於ける、珍しいヤクの晴れ姿といっていいようだ。北方から侵攻し、中国を悩みぬかせた遊牧民匈奴」が、どの民族かははっきりしないが、ヤクに対する好み、扱いからして、匈奴はやはりモンゴル族ではなかったと推測する。