英語の先生スチュワートさんを囲んで新年会。
十二支は英語でなんというのか、というメンバーの質問から、スチュワートさんの干支をたずねることになった。
「モンキーです」と即答。
年男であることが判明した。
「モンキーは大好き。母も、一緒に住む女性もモンキー年です」。
サル好きの理由は、ロンドンでの子供時代、テレビで見た日本製ドラマ「MONKEY」のせいという。テーマ曲を口ずさんだので、すぐ堺正章が孫悟空にふんした「西遊記」(78-79年)としれた。夏目雅子が三蔵法師。
「毎回楽しみに見ていました。大人にも子供にもすごい人気」。英国では1979年に放送されたようだ。放送局はチャンネル4かと聞くと、「BBCでした。あのころは、BBC1局でした」という。A面「ガンダーラ」、B面「モンキー・マジック」のゴダイゴのシングルレコードも英国で発売された。
欧州には、野性のサルがいないことに話題が移った。サルに対して、日本人と違って子供の頃から親しみを持つ機会がないことがわかった。テレビに現われた孫悟空が新鮮に映ったというわけだ。
霊長類(人間以外)の生息分布をみると、確かに、欧州、北米は、空白地帯になっている。
猿は、「南方の動物」なのだった。
「オルドス口碑集 モンゴルの民間伝承」(A・モスタールト著、磯野富士子訳、平凡社、66年)にオルドス地方に住むモンゴル人の「十二支の歌」が紹介されている。
卯年は「黄金の地でふざけて遊ぶ いたずら者の兎の年」。戌年は「他人と身内を見分けて吠える 長い鼻面の犬の年」と動物は見たまま歌われるが、申年は「七宝のみなそなえたる タンスン・ラマ(唐僧)の勇士サルの年」と、サルは唐僧三蔵法師の連れの勇士孫悟空として歌われている。
サルの神ハヌマーンの信仰をもつインド文化圏は別にして、日本のサル文化の豊かさに行きあたった。