モンゴル語には、そもそも道という言葉がなかった。
「ザム」という道を表す言葉はあるが、外来の言葉だという。
草原を馬で行くのに、決まった道は、そもそもなかったのだ。
次第にわだちが出来て、道のようなものとなった。
日本に生まれて、道なんて、あるのが当たり前、と考えて来た僕にとって、モンゴル人には、道の概念がなかった、というのは刺激的な発見だった。
作られた道を行くのではなくて、自分が馬で走る、その軌跡が道なのだ、 というのは、滅茶苦茶カッコいいではないか、と。
でも、モンゴル草原の道は、写真のように、それはそれで、印象深い。
東山魁夷画伯の「道」という絵を、思い出しながら、真直ぐに伸びる道を撮影していた。