落語同様、ラクダは危険な生き物である

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 三好達治の詩をまねて、モンゴルで「駱駝の瘤にまたがって」みたことがある。駱駝は、畳んだ足を伸ばして立ち上がる。馬と違って、駱駝は背が高いのだ、と今更のように、気付く。2メートル以上の、危ないと思う高さ。直ぐに駱駝を坐らせてもらい、降りた。
 
 愛嬌があるモンゴルのふた瘤駱駝だが、発情期の駱駝は、乱暴で手がつけられない。馬に乗った遊牧民まで、追いかける事があって、しかも、馬より速いから逃げるにもひと苦労するという。冬の発情期は、モンゴルの遊牧民が警戒する危険な動物なのだった。
 
 話が飛ぶが、古典落語の演目の「らくだ」。なんで、乱暴者の主人公(といっても、登場する時は亡くなっているのだが)のあだ名が「らくだ」なのか、不自然だと思っていた。
 
 「らくだ」は、江戸末の文政21年に、見世物として両国に連れて来られたのがキッカケで、図体の大きな男に「らくだ」のあだ名がつき、落語でも名前に使われたとされる。しかし、大男は分かるが。乱暴者というのは、どうしてか。2頭のらくだは、長崎に文政21年の旧暦6月に上陸。両国には旧暦11月に到着して、見世物が始まった。
 
 此処からは推理ー。
 
 ラクダは、発情期の冬場を、江戸で過ごしたことになる。暴れて、手を焼かせたラクダは、大きな乱暴者の印象を江戸っ子に植え付けた。それで、らくだは、大きな乱暴者として落語に登場した。
 
  この渡来したラクダはアラブのひとこぶ駱駝で、落語の方は上方で原作が作られたらしいが。