モンゴルがまだ、社会主義だった頃、
北京から列車でモンゴルに入った。
ウランバートルで2泊した後、空港から飛行機で南下し、ゴビに向かい
1時間半ほどで、草原の天然空港に到着したのをよく覚えている。
ゴビの二日目に、タカを見に行くのだと、僕ら6人は、わけも分からず、ヨル渓谷に行った。
岩山は凄かったが、少しよじ登って、腰を下し、はて、なにもいないなぁ、と
ぼんやり時を過ごした。
ヨルという、ユーラシア大陸で最も大きなワシが生息しているのでヨル渓谷という。
その頃は、ワシタカに、興味はなく、早く別の処に行きたかったものだ。
ヨルは、ヒゲワシといって、ユーラシアや北アフリカに棲み、翼を広げると、3m近くある。
社会主義下では、庶民と僕ら外国人を合わせるのを、ジョルチン=モンゴル観光局は
極端に嫌がった。自然より、ゴビでのモンゴル人の普通の生活が見たいと、僕らは言い続けた。
僕らに是が非でもタカを見たいという、強い気持ちがなかったせいか、見物は空振りに終った。
あの時、粘ってヨルを見ておけばよかった、とつくづく今は思う。
ゴビを行く