考古学

上代日向研究所について(4)

その時、考古学者の瀬之口伝九郎氏は、知らされていたのだろうか。 陸軍が2ヶ月前の昭和17年4月、古墳群が広がる宮崎市の西北、現・国富町の木脇地区に、飛行場建設を決定し、やがて緊急の発掘調査を依頼されることになるのを。 紀元二千六百年にあたる…

メキシコの黒曜石鏃

つくばの筑波実験植物園に細が行きたいというので、息子夫婦の運転で出かけた。散策の後、土産売り場に黒曜石の鏃の複製品があったので買った。メキシコ製とあり、途端に興味が沸いたのだ。おそらく、国立科学博物館の施設なので、あちらの土産物を此処でも…

スガルと三輪山・鉄採掘団

スガル(蜾蠃)について、これまで、何回か触れてきた。 日本書紀に登場する少子部蜾蠃(チイサコベ・スガル)について、ふと思いついたことがあるので、メモしてみる。 きっかけは、河上邦彦氏の「三輪山と鉄」という文章を読んだことだ(「網干善教先生古…

奈良土産の関東出土埴輪

奈良土産の埴輪が捨てられない。 小学生の時、母親やきょうだいと奈良観光旅行をしたとき、土産物屋で見つけて、欲しくなったのだ。 「こんなのがいいの?」と皆に言われたのをかすかに、覚えている。 その後、女人埴輪のモデルは、奈良はもちろん、関西地方…

噴火と鎧と

榛名山・二ツ岳噴火で埋もれた金井東裏遺跡(群馬県渋川市)のことを書いた手前、あらためて調べなおしてみると、発掘が進んで、知見が深まっていることが判明した。 目に付いたのはー ◆鎧(札甲)を着たまま発見された男性の近くで、新たに首飾りをした女性の…

素手で動物を救け上げる話

夏のイルクーツクには1度だけ、旅行したことがある。 先週17日、モスクワ・タイムズの電子版に、イルクーツクで氷の穴に落ちたイノシシ3匹を猟師が素手で助け上げた、というニュースが動画とともに掲載されていた。TVネットワークの「360゜」が、最…

乱れた十二支が紛れていたのは誰の古墳か

師走に入って、せわしなくなったのに、鏡の呪文などというどうでもいいことを調べ出してしまった。 休日、ジムで汗を流しながら、考え続けている。 上は、後漢時代の中国鏡。十二支の漢字が時計回りに、子(青〇)からぐるりと四辺に3文字ずつ書かれている…

不思議な十二支の間違え

来年の年賀状の束が机に置かれている。 そろそろ準備しろという、細の催促だ。面倒だ、じつに面倒だ。 未申酉戌亥・・・・。 来年は酉年か。 そうそう、古代の日本製の青銅鏡に、なぜだか、十二支の乱れた銘文があったはずだ。 子丑寅卯辰と初めの5文字はあ…

真脇遺跡の鳥形土器とミミカイツブリ

秋になって、近所の沼も少し賑わいがもどってきている。 近くにすむ小父さんが、夕方餌をやると、カルガモ、バンが岸によってきた。小さなバンには、さらに小さな2羽のヒナがついてきた。カルガモの激しい動きのなか、赤い額板のバンの親鳥は、餌をくわえる…

イモガイをさがして古代をおもう

貝の収集棚から、イモガイをさがす。福岡の古賀市で、古墳に隣接して馬具の埋納坑がみつかり、イモガイでかざられた馬具(辻金具)があった、と今朝の朝刊がほうじていた。 6世紀、7世紀のイモガイ製の小さな馬具は珍しくない。ただ、イモガイは、琉球、奄…

力士埴輪の赤い鉢巻

ジガバチの英名は、主に2つあって、 1は、腰細の特徴から、thread-waisted wasp 糸の様な細い腰の蜂 2は、red-banded sand wasp 赤い帯模様の砂の蜂 http://photozou.jp/photo/show/151134/28645122 ジガバチは赤い腰の赤が特徴だ。 「日本霊異記」の登場…

沖縄ゴホウラ貝続き

沖縄ゴホウラ貝の続き 鮮やかな白の「ゴホウラ貝製腕輪」が、弥生時代に九州、本土で席捲したあと、腕輪は、弥生時代後期には、ピカピカの金属光沢の銅釧に代わられ、古墳時代には、碧玉の鍬形石(ゴホウラ腕輪を模した)に変化した。 白―金属―碧 と、弥生時…

沖縄のゴホウラ貝

平凡な一日だった。 仕事から帰り、思いついて家人の貝のコレクション棚から、ゴホウラ貝を取り出す。 重さを計る、600㌘。メジャーで高さ幅を計る、19㌢×14㌢。重くて、デカイ。 沖縄、琉球の水深10メートルのサンゴ礁の砂地に生息する最も大きな巻貝…