イモガイをさがして古代をおもう

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 貝の収集棚から、イモガイをさがす。福岡の古賀市で、古墳に隣接して馬具の埋納坑がみつかり、イモガイでかざられた馬具(辻金具)があった、と今朝の朝刊がほうじていた。
 6世紀、7世紀のイモガイ製の小さな馬具は珍しくない。ただ、イモガイは、琉球奄美産。 南海の貝が、半島で5世紀末から、九州、関東では6、7世紀から馬具にもちいられているのは、とても面白いとおもっている。
 騎馬文化と、南海の文化の出会い。
 
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  我が家には、イモガイでは、ダイミョウイモがあった。沖縄八重山竹富島の雑貨店で自炊用の米をかったとき、奥さんがくれたものだ。イモガイの頭頂には、こんな風に、同心円の模様がある。
 古代の馬具は、この部分を輪切にして、円盤をこしらえ、金具にはめこんでいる。
 
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  これは、クロミナシ。
 
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 イボカバイモもあった。
  イモガイは種類が多く、日本では200種くらい生息している。古代遺跡では、アンボングロザメ、クロフモドキが、確認されているようだ。
  現段階で、最古のものは、5世紀末から6世紀初めという。
 朝鮮半島では、「最古のイモガイ製品は、金冠塚の飾金具で、全部で6~7個ある」。これに「同じ大きさの、ガラス製飾金具8個と大型ガラス製品1個が伴っている」「イモガイは艶のある白色、ガラスは青緑と紺色の組み合わせなので美しい対照をなしたであろう」
 と、木下尚子さんは「南島貝文化の研究」でかいている。
 「新羅王室付工芸デザイナーは、イモガイをガラスと同様の感覚で評価したらしい」。
 
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 新羅は慶州の芬皇寺石塔。随分前にたずねた時は、観光客もまばらだったが、今はちがっているだろうか。
 この石塔の2層と3層の間に石函が見つかり(1915年)、多数の玉類などとともに、南海産(=琉球産だろう)のイモガイが発見された。
 7世紀の創建の寺。新羅では、イモガイが大事にあつかわれていたことがよくわかる。
 
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 三島格「貝をめぐる考古学」には、この寺で発見されたイモガイが紹介してある。輪切にしているのが、よくわかる。