2014-01-01から1年間の記事一覧

きつね火でなく利根川のアオサギだった話

前に書いた釣りの随筆家、佐藤垢石「狸の入院」で感心したのは、利根川中流のアオサギの話だ。 学生時代から鉄砲撃ちとして知られた垢石は、地元の老人に、夜な夜な人魂がでるのは、キツネの仕業に違いないから退治してほしいと依頼された。 垢石が幾夜もか…

幻の都、湖東・蒲生野のこと

7世紀天智天皇は、条里も作れないほど狭い大津になぜ京を建設したのか? 不思議のひとつ。 それは、大津京だけではなくて、琵琶湖を隔てた湖東地方もセットにして、都を作る計画だったからだー。 長谷川修氏の大胆な仮説を知ったとき、うなってしまった。「…

石塔寺の塔は昔のままなのか

数年前の真夏に家族3人で、湖東=琵琶湖の東岸を回った。古刹は山寺ばかりで、杖を借りて汗をかきかき登った。石段を登って出合った石塔寺の石塔は、異国風であった。 三重石塔の、層と層の間の石が縦に長いせいもある。垂直性が強いとでもいうか。 ところが…

垢石の本で遅まきながら茂田井武を知る

たぬきと鬼と河童が酒を飲んで寝ている。 片肘をつき狸、河童はウトウトしているが、鬼はうつ伏せて、はや爆睡。 釣り随筆の先駆的存在、佐藤垢石の『狸の入院』の表紙絵の一部だ。 面白い絵だな、と思う。本は、昭和27年発行。戦前、戦後のまだ、日本の森…

バレンタインデーに「西行の日」を想う

今年のバレンタインデーはいろんな意味で寒かったけれど、あとひと月もすれば、花の季節となる、まあいいか。 陰暦2月15日か、16日は確か西行忌だ。 願いがかなうなら、桜の下で死にたい、その如月の満月のころ、と歌った西行法師は、その通り、その時…

魔鏡の新発見に感心したこと

3Dで再現した古代の三角縁神獣鏡の鏡面に日光を当てて壁に反射させると、鏡の裏の神獣の文様が壁に映し出される。古代にも存在した「魔鏡」-。 STAP細胞の世紀の発見で沸いた同じ日、古墳時代の青銅鏡に関しても大きな発表があった。遺物を工学的に研…

イランの日本人妻とイスラム犬事情

イランで生活する日本人女性が、アパートから娘さんと犬の散歩に出るとき、住人のイラン男性からののしられる光景がテレビで放送された。 ぎょっとした。 犬を飼っていることを、怒っているのだ。敬虔なイスラム教徒の、犬嫌いは半端じゃない、と思った。と…

ルリスタン・ブロンズというものだった

もう一度、訪ねてみたい処はたくさんあるが、いちばんはペルシャの古都イスファハンだ。シャー・アーバス・ホテルの近くの古物商で土産に買ったブロンズの山羊のお守りが、遠い思い出のよすがになっている。 土が付いたままで、さも、発掘したもののように、店…

沼はカモで賑やかだ

近所の池も鴨で賑やかになった。 今年も、キンクロハジロが数で優勢を誇っている。第二党のオナガガモは激減、マガモはコガモ、オシドリとともに少数派に転じて久しい。 「鴨の羽の色」といえば、万葉集以来「青」の例えとなっているから、鴨といえば、マガ…

ギンヤンマのギボから国見を夢想する

動物学者筒井嘉隆さんの「町人学者の博物記」(河出書房新社、87年)を古本屋で見つけ、「子供のころの 大阪市内の動物」という文章を読んでいたら、「ヤンマ」が出て来た。 筒井さんは、 大阪市西区北堀江 に生まれ、今は埋め立てられた堀江川でギンヤンマ…

新年猫尽し

穏やかな正月。 元旦の午後は、魚屋さんに長男と出かけた。タイはなかったが、ヒラメ、マグロ、ブリ、タコを用意してくれていた。店の奥で猫が鳴きだすと、主人は「しょうがねえなあ。ヒラメのアラを今やるから」。我ら3組のお客は、「今年も贅沢だなあ、こ…

新年は、すたすた坊主で

僕の好きな、すたすた坊主で新年のお祝いを。 まずは、すたすた坊主が唄う「よいとこ尽し」。 すたすたや すたすた坊主の来る時は 世の中よいと申ます、 とこまかせて よいとこなり、 お見世も繁昌で よいとこせ 旦那もおまめで よいとこ也 とこまかせて よ…