僕の好きな、すたすた坊主で新年のお祝いを。
まずは、すたすた坊主が唄う「よいとこ尽し」。
すたすたや すたすた坊主の来る時は
世の中よいと申ます、
とこまかせて よいとこなり、
お見世も繁昌で よいとこせ
旦那もおまめで よいとこ也
とこまかせて よいとこ也
願人坊主の中で、いちばん、奇天烈な、すたすた坊主。
寒中にも丸裸。坊主頭に縄鉢巻をし、
腰に注連縄飾りのような藁を巻いた姿で現われました。
すたすたすた、と江戸や大坂の町を小走りに回って、
門々で喜捨を乞うたといいます。
享保ごろから、寛政のころまで流行したものの、全く消えてしまったそうです。
一時は縁起物の人形になるほどの人気者だったのに。
(イラストは、廣澤金次郎「下層社会史上から眺めた神田 -橋本町と願人坊主」(武蔵野叢書『神田』、昭和10年)から。廣澤さんの文章で、すたすた坊主を知りました。最近、白隠禅師も絵に描いているのを知りました)