隠し犬と袋猫

 通勤中、停車したとある駅。ホームで、ジャンパーを着た中年女性がいて、懐からムク犬が顔を出していた。反対側の電車に乗るらしい。

 

 コロナ騒ぎもあって、空いた下り電車なので、トラブルはなさそうだが、ペットは確か「容器に収納」が原則(手回り品切符を購入して)。中年女性は犬を懐に隠して改札口をバレずにすり抜けたようだ。

 

 2020年Xマスの朝、犬と乗車した女性は、なにか考えがあったのだろうか。

 

 わが家の猫を抱いて一緒に電車に乗るというのは、ちょっと考えられない。猫は懐から飛び出して走り回ることになるだろう。

 

 The cat is out of bag.

 

 バッグから猫が出ている、という言い回しがあって、「秘密がばれている」という意味。

 

 おそらく西洋の昔のことなのだろう。猫を袋に入れて子豚を買う市場に行って、「豚だ」といって売ろうとした輩がいた。ところが袋から猫が出てしまい、詐欺がバレてしまった。そんな経緯から生まれたいい回しだという。猫にとってはとんだ災難だ。

 

 猫は、黙って家に戻るから、何回か猫で商売をしたのかもしれない。(伝書バトを騙し売る貧しい家庭の少年を描いた大島渚監督の「鳩を売る少年」を思い出した)

 

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 昨日神保町で古レコードを買って帰った。うちの猫は、すぐ紙の大袋を見つけて潜り込んでしまった。本当に猫は袋が好きなのだ。

 

 悪い猫売りの中には、袋好きの愛猫と組んで詐欺を働いていた輩もいたのかもしれない。

 

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