英国のチョウゲンボウ

 英会話の先生スチュワートさんとモンゴルからドバイ辺りへ、セーカー隼が不正輸出されている話になり、その流れで、ロンドンのタカの話になった。
 
 10数年前の話、ロンドンのパブ周辺に鳩が増えて、店々が困ったことがあったという。みなで鷹飼を雇って、鷹を連れてきてもらったら、鳩がみな逃げていったー
 といった内容だった。そういうビジネスがあるのだ。
 
 今話題の、佐賀県の女子高生がカラスが増えて悩んでいる地区へタカを連れて車で出張して行く話を思い出した。車からタカとともに、少女が降りただけで、カラスが気配を察して、そわそわしている姿がテレビニュースの画面から伝わってきた。
 
 タカは、モモアカノスリ=ハリスホークだったので、ロンドンのタカの種類を、聞いたら「オオタカだと思う」といったので、「多分違うと思うよ。オオタカは馴らすの大変だから」というと、電子辞書で調べて「チョウゲンボウだった」と言った。
 
 ハヤブサの一種、チョウゲンボウは都会にも生息する馴染み深いタカだ。「長元坊」という名をどうしてもって居るのか、長い間不思議に思っている。
 
 運河近くの、天王洲アイルのビル2階の開放廊下で子供のチョウゲンボウを見たことがある。数羽のカラスに襲われて、廊下隅で、身構えて自分を守っていた。
 
 若いサラリーマン達は、びっくりして「おっ、きれいな鳥」と間近に鷹を見る稀有な出来事に感動した様子だった。小さなチョウゲンボウで、おそらく若いチョウゲンボウだったのだろう。カラスの威嚇に防戦一方だったものの、チョウゲンボウは毅然としていて、やがて飛び立つと、カラスが集団で追いかけていった。
 
 多数に無勢、タカもカラスの群れには弱いケースがあるのが不思議だったが、輝いている目と、攻められても、堂々とした様は、目に焼きついた。
 
「ロンドン郊外には、鷹がいるし、エリザベス女王もFALCONER(鷹匠)だよ」とスチュワート。女王はどんな鷹を用いているのだろう。
 
  15世紀の英国の「THE ‘BOKE OF ST. ALBAN’S」には、英国王朝の鷹狩りについて書かれていて、王族が鷹狩りを独占していたこと、王族には扱う鷹が決まっていたことが判る。
 
 KING 
GYR FALCON (m&f)
 シロハヤブサ 雌雄
 PRINCE
PEREGRINE FALCON
 ハヤブサ
 DUKE
ROCK FALCON
 
 EARL
TIERCEL PPEREGRINE FALCON
 
 BARON
BASTARDE HAWK
 
 KNIGHT
SAKER
 セーカーハヤブサ
 SQUIRE
LANNER
 ラナーハヤブサ
 LADY
MERLIN (f)
 コチョウゲンボウ 雌
 YEOMAN
GOSHAWK か HOBBY
オオタカ か チゴハヤブサ
 PRIEST
SPARROWHAWK (f)
 ハイタカ 雌
 HOLY WATER
 CLERK
SPARROWHAWK (m)
 ハイタカ 雄=コノリ
 KNAVES
KESTREL
 チョウゲンボウ
 SERVANTS
KESTREL
 チョウゲンボウ
 CHILDREN
KESTREL
 チョウゲンボウ
 
チョウゲンボウは、KESTREL。下男、使用人や子供が扱う鷹だったんだ。