湯島聖堂の続き。
「三宅米吉著述集・上」収録の「聖堂畧志」に、湯島聖堂大成殿の写真が掲載されていた=上の写真=。
大正期の撮影と思われる。あいにく、屋根の上部はカットされていて、「鬼犾頭」は映っていない。
当時のカメラマンが、屋根の上の「鬼犾頭」を外して撮影するというのは不可解。あるいは破損して、存在していなかった可能性も考えられる。
「猫形蛇腹」の「鬼龍子」も、アップでみると、前脚があるものの、後足は覚束ない。
現在の伊東忠太の「鬼龍子」と比べてみると、腰、下肢が欠けているように思える。破損したのか。そもそも、こんな形だったのか。疑問が残る。
いずれにしても、動物像をそのまま伊東が模写したわけではなさそうだ。
鬼龍子のリアルな猫の顔を改めて観察すると、伊東が自分の好みで作り上げた、との感を深くする。
(続く)