仕事で出かけた福岡県飯塚で、旧伊藤伝右衛門邸に寄ってみた。筑豊の炭鉱王の豪邸で、華族で歌人の柳原白蓮が妻として約10年暮らした時のよすがが残っている。
たたき上げの50歳の炭鉱王と、25歳の華族令嬢の結婚は、明治末年の大きな話題となったが、その後、白蓮が年下の活動家(宮崎滔天長男)と出奔した大正10年の白蓮事件はそれ以上のスキャンダルとなった。
その部屋に、蝶の絵があった。
蝶の舞花のことばも天地のよろこびうたふ六月半
明るい歌だ。
蝶が好きな白蓮のため、彼女の部屋の天袋の絵に蝶が選ばれたのか。それにしては、あまり見かけぬ蝶―。
想像で生まれた、装飾的な蝶なのだろうか。上の写真の、右の蝶は、台湾に生息するタイワンタイマイにほんの少しだけ似ている。真ん中は、ルリマダラ、下の写真の左は、コノハチョウを基にしたのか。
南の蝶たちばかり。日本画家・水上泰生の作品という。
そんなことを、ぼんやり考えて居たら、ハッと思いだした。大変だ。7月第一週で、立石鉄臣展(府中市美術館)が終わってしまう。
行かないとー。