やぐらを立てて「空中参拝」させた凄い三重塔

 五重塔ではないが、櫓を組んで、三重塔の屋根に人を上げた、という寺があるという。
 思いきって出かけてみた。来春まで、暇なのである。
 
 埼玉県川口市郊外にある西福寺三重塔。外環道の脇の、台地の丘の上に江戸時代建築の塔がたっていた。高さ23メートル。ここに人を上げたか、と見上げてみる。
 
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 塔の前の説明板の一部にこうある。「棟札銘文によると、この塔は元禄六年(1693年)三月二七日に建立完成されたもので、かつては、櫓を組んで塔の頂上まで参詣者を登らせた時もあった」
 
 やぐらを組んだのは、当然、塔の外だろうから、23メートル前後のものを隣にたてたことになる。説明板には欠けているが、「塔・塔・塔」さんのHPに、詳しくかかれていて大変参考になる。
 
 
1)塔の相輪の最上部にある宝珠内に、聖観音像と黄金の仏舎利塔が納められている。
2)毘沙門天の御開帳の日に、櫓を立て参詣者を屋根にのせ、観音像と仏舎利を拝ませた。
 
 毘沙門天は寅年寅月寅日寅刻に生まれたとされ、御開帳は正月の初寅だ。(神楽坂の毘沙門天善國寺は、正月初寅のほか二の寅、五月の初寅、九月の初寅と年4回御開帳)
 
 
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 しかし、ここで疑問が出て来る。上野寛永寺の屋根のエピソードでもわかるように、屋根の傾斜はきつく、危険で立っていられない。屋根に上っても、さらに相輪の最上部の宝珠まで7メートル近くもある。
 
 どうやって拝観したか。
 想像できることは、
A)屋根の上に足場を組み、さらに、梯子をかけて、宝珠の近くまで参詣者を上げた
B)やぐらを宝珠の高さまで組み、屋根には上がらせず、やぐらの足場からの参拝とした
C)屋根の上の足場から、7メートル先の観音像を仰ぎ見させた
 
 詳しいことが知りたくなる。
 江戸から大勢の参詣客がつめかけたという。人気寺院が、今ではひっそりとして、相輪の宝珠の中に、まだ、聖観音仏舎利塔が入っているのやら、いないのやらも、判らずじまい。