2014-08-26 イソヒヨドリの命名から推測した海洋文化圏 野鳥 イソヒヨドリは、ヒタキ科ツグミ亜科なので、英名は、BLUE ROCK―THRUSH=青い岩場のツグミ。 モンゴル名も、ホホワトル ハドニィ タルガルジ=青い岩のツグミ。 中国名も、藍磯鶫=藍色の磯にいるツグミと、ツグミの仲間にしている。 ところが、日本ではイソヒヨドリという名前がついて、ヒヨドリ科のヒヨドリと混同している。 この混乱は、日本だけだろうか。 壱岐の後、沖縄を旅行したとき、たくさんのイソヒヨドリと出あった。 沖縄では今も、ヒヨドリとイソヒヨドリと区別せず、イソヒヨドリを「スーサー」(ヒヨドリの沖縄方言)とよぶ人もいる。イソヒヨドリは沖縄方言でイシブーサー(イシは磯のこと)。 渡嘉敷村では、イソヒヨドリをイシスーサーとよんでいるという。磯にいるヒヨドリで、日本と全く一緒だ。 ウミスーサー=海のヒヨドリともよぶ。また、スーチクン、シグクンともよぶそうだ。 では、韓国ではどうか。ヒヨドリは、ジクパクグリ。 イソヒヨドリは、パダ(海)ジクバクグリ(ヒヨドリ)。海のヒヨドリとよんでいる。 韓国も、ヒヨドリとイソヒヨドリと同じ仲間あつかいしているのだった。 ヒヨドリとイソヒヨドリを同じ仲間だとみる鳥の見方が、対馬海峡、東シナ海をはさんで共有されていることになる。 おそらく、倭寇の時代、海洋交流していた文化圏で、海辺、磯に生息する青い鳥を、ヒヨドリの仲間だという認識が、そのままこの地域で広がったのだろう。 魏志倭人伝に登場する壱岐は、古代から九州、本州ばかりか、琉球、半島とも海でつながる文化交流の拠点だった。 そこでみたイソヒヨドリは、日本周辺の海洋の共通した文化を物語る貴重な存在だと考えるにいたった。