デルタ株の感染が身近に押し寄せている。
濃厚接触者ではなかったが、念のため私たちもPCR検査にクリニックへ行ってきた。即日判定で「陰性」だった。
少しホッとして休日の夕べ、散歩に出かけた。川べりに、また違う花が咲いていた。やや紫がかった白い花。葉を見て、細は「ナス科のようだ」といった。
家に戻って確認すると、要注意外来生物に指定されている「ワルナスビ(悪茄子)」と判明した。6~9月が繁殖期とあり、時期もあっている。米国カロライナ州周辺の原産で、世界各地に移入し、駆除の対象になっていた。
1)するどいトゲとソラニンの毒性
茎のトゲと、ミニトマトに似た毒性のある実が、家畜を傷つけ、被害を与えている
2)作物に悪影響
繁殖力が強く、畑作のナス、トマト、ジャガイモ、トウモロコシの品質を低下させ、連作の障害になっている
3)害虫テントウムシダマシ
ナスの天敵テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)の温床になっている
日本には、牧草に混入して渡来、明治39年(1906年)、植物学者の牧野富太郎氏が成田三里塚御料牧場で発見した。「ワルナスビ」と命名したのも同氏だった(英名はHORSE-NETTLE=馬イラクサだが、「DEVIL‘S TOMATO」(悪魔のトマト)とも呼ばれている)。
私が関心を持ったのは、3)だ。
4年前、高野素十の「天道虫だましの中の天道虫」という昭和22年の句について書いた。
益虫のテントウムシに姿が似ている害虫のテントウムシダマシ。テントウムシよりテントウムシダマシの方が多い情景を描いていた。
7星でなく28もの黒斑を背中に付けた、そのテントウムシダマシ(上写真は、原色昆虫図鑑」=昭和40年、集英社=の表紙)が、このワルナスビなどナス科の植物にとりついて繁殖していることが分かって興味深かったのだ。テントウムシダマシが、このワルナスビと結びつくとは。
我が家の近くには、可憐な野草もあれば、人間に害を与えるものも生育している。人間社会にも似て、いろいろなものが雑居しているのだった。野草の世界も興味深いものがある。
ただし、好奇心旺盛の孫と散歩する時は、ミニトマトに似た毒の実と、鋭いトゲには、要注意だと思った。