「おいしい暮らし」に欠かせないトマト

 息子が送って来た「おいしい暮らし 北インド編」(有沢小枝、教育評論社)を、読んでいたら、俄然インドの料理を作ってみたくなった。

 

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 我が家は、孫ができる前は、ちょくちょく南インドカレーの店に行って、ケラーラ州出身のマスターのインド料理を楽しんだ。種々のカレー、タンドリー・チキン、サモサ、トマトスープなど、決して吾々には作れない味だと思っていた。

 本の著者の有沢さんは、麹町でインド料理店を持っていて、夫と暮らした北インドで覚えた家庭料理の味を提供しているらしい。本には、インドの食文化と、その背景についてわかり易く、興味深く書かれている。最後には4点だが、料理のレシピも掲載されている。

 

 コロナ禍のなかで、料理に関心を持ち、手習いを始めたばかりの私にも、ひょっとしてできるのではないか、とチャレンジ心が沸いてきた。

 

 GWの初めにチキンカレーとナンを作ることにした。台所に不足していたドライ・イースト、ベーキングパウダー、無塩バターは、仕事帰りに、スーパーやベーカリーに寄って買って帰った。

 

 作るのは2人分のチキンカレー。何種類もの香料は揃えきれないので、香料不要のレシピを探し出した。玉葱を炒めた鍋に、トマト缶をまるまるあけて煮ながら、こんなに沢山トマトを入れるのかと思った。

 本には、インドがトマトの生産量で世界2位(ダントツは中国。トマト料理の印象が強いイタリアは5位)であり、いかにインドでトマトが消費されているか、どんなカレーにもトマトは欠かせないと書いてあった。カレーを支えるトマトのことが少しわかった気がした。

 

 カレー粉は大さじ一杯程度。ジップに、ヨーグルト、生姜、大蒜などと混ぜ合わせ、鶏もも肉にもみこんで、小一時間寝かせた。インド料理には生姜は特に欠かせない。インドの生姜の生産量が、世界一である理由も本には書かれている。

 

 ナンをこねて、ラップで包んで30分ほど寝かせると、イースト菌の力で、大きく膨れ上がってくる。鍋で表裏を焼いて、無塩バターを塗って完了。

 

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 思ったより、簡単に出来た。見てくれは良くなかったが、自分でも驚くくらい美味しかった。辛口の細が「美味しい。南インドカレーの店の味に似ている。ナンは厚すぎるけど美味しい」とほめるではないか。

 

 トマトといえば、今年の正月にスペイン料理「パエーリア」に初挑戦した時も、トマト缶を使い、イカをグツグツ煮て、ベースの味を作ったのだった。トマトの大いなる役割を、この齢になって気づくとは。

 

  本には、「インドにカリーという食べ物は無い。カリーとは南インドタミル語で副菜、まあ一言で言えば惣菜の意味を持つ言葉である」といったインド知識があふれている。インドの爆発的な新型コロナ感染拡大を心配しながら、悠久のインド食文化に少しだけ触れた思いー。