日本の色のことを調べてみて、鉱物の知識の欠如を痛感した。
細を、だましだまし連れ出して、先の休みに、鉱物の展示販売会へ足を運んだ。「ミネラルショー」という催しだった。ちょっとした石ブームなのだろうか、意外に賑わっていて、積極的な女性客が多かった。東南アジア、南アジア出身の日本語が達者なバイヤーとの会話を楽しんでいた。
僕は、日本産の石を見て歩いた。
孔雀石のほか、べゼル石が混じっている。緑に近い円い粒の結晶が孔雀石で、青味が強いのがべゼル石。ともに、銅の2次鉱物。
なんてことない、孔雀石は銅の錆「緑青」と同じ成分だった。
孔雀石の青緑とちがって、深い青色を示す言葉はもちろんあった。「瑠璃」。ラピス・ラズリだ。奈良時代には、ラピス・ラズリの色彩文化はわずかしか入ってこなかったのではないか。日本の青が、青と緑と混沌としているわけは、「銅」の青緑が定番になったため、と鉱物展示会で考えた。