孔雀石を見て閃いた日本の「青」のこと

 日本の色のことを調べてみて、鉱物の知識の欠如を痛感した。

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 細を、だましだまし連れ出して、先の休みに、鉱物の展示販売会へ足を運んだ。「ミネラルショー」という催しだった。ちょっとした石ブームなのだろうか、意外に賑わっていて、積極的な女性客が多かった。東南アジア、南アジア出身の日本語が達者なバイヤーとの会話を楽しんでいた。
 僕は、日本産の石を見て歩いた。
 滋賀県栗東市石部灰山で採掘された小さな「孔雀石」を見つけた。青緑が、なかなかきれいだ。 
孔雀石のほか、べゼル石が混じっている。緑に近い円い粒の結晶が孔雀石で、青味が強いのがべゼル石。ともに、銅の2次鉱物。
 なんてことない、孔雀石は銅の錆「緑青」と同じ成分だった。
 
 奈良時代の画師たちは、もっと大きな孔雀石を見つけ、摩り下ろして粉にし、青の顔料として用いた。岩緑青、青丹とも呼び、日本画の顔料として今も使われる。
 
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 マガモの首の「青」、信号の青信号と、日本では緑が「青」と識別されがちだと、前にかいたけれど、「青」の顔料が孔雀石だったせいもあるのではないかと思った。
 
 孔雀石は、マラカイトと呼ばれ古代エジプトから顔料として用いられ、アイシャドーもこれだった。日本では 、銅や青銅の合金の文化とともに、孔雀石も認知され、重宝されたのだと思う。
 
 孔雀石の青緑とちがって、深い青色を示す言葉はもちろんあった。「瑠璃」。ラピス・ラズリだ。奈良時代には、ラピス・ラズリの色彩文化はわずかしか入ってこなかったのではないか。日本の青が、青と緑と混沌としているわけは、「銅」の青緑が定番になったため、と鉱物展示会で考えた。
  また、孔雀石と同じ銅系のベゼリ石のほうはどうか。マヤ文明の緑の顔料が、このベゼリ石だった。メキシコのカラクムル遺跡の青緑のモザイク、仮面は鑑定調査の結果、すべてベゼリ石だったという。