コース売店で見つけた氷旗

 日曜日に、友だちに誘われて2人の子息と一緒にゴルフをした。35度以上の炎天下。滂沱の汗、くらくらする頭。当然の、大たたき。
 
 コース売店のあるホールに辿り着くと、「氷旗」が掲げてあった。「おお」と声を上げて、中に入る。レモン味のシロップを敷いて、かき氷をつくってもらう。友だちの子どもたちは「冷たくて、頭にツンと来る」というが、熱中症一歩手前の私は、冷たさを感じない。
 
 しかし、氷旗の観察は怠らない。ふむふむ、波の上に、2羽の千鳥が飛んでいる「波千鳥」。
 最近になって川端康成に「波千鳥」という小説があるのを知った。「千羽鶴」の続編で、七めんどくさい男女の話。新婚の妻が襦袢の裾の模様に、波千鳥を選んで染めたことから、題名になっている。
 作中で、この妻は「波千鳥」という言葉を知らない。
 
妻「千鳥は冬の鳥だから、染めてみましたの。」
夫「波千鳥だな。」
妻「波千鳥・・・? 波に千鳥ですね。」
夫「夕波千鳥と言ふでせう。夕波千鳥なが鳴けば・・・・って歌にある。」
妻「夕波千鳥・・・? でも波に千鳥の模様を、波千鳥っていふかしら?」
 
 昭和24年5月から同29年7月まで、「小説新潮」に連載された未完の小説。「波千鳥」という言葉を知らず、登場人物がいぶかしがる設定だから、世間的に「波千鳥」という言葉は、通用していなかったことになる。
 
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 明治23年の氷店の絵を見つけた。「風俗画報】連載の「風俗画賛」で、印から察して絵は寺崎広業のようだ。氷旗を裏返して見るとー。
 
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 氷の字の下に、波のような模様がうかがえる。