良い茶が手に入った時には、青花の小さな茶杯でのむ。谷中を歩いていて、ひょんなことから景徳鎮小雅窯の茶杯を3つ買ったのだ。
開放経済後、中国は採算重視になって、景徳鎮の高度な技術は危機的になった。それを日本からも支援して守っている窯らしい。
清のころのものを模したらしい「草舎謹製」が気に入りである。
中庭のようなものか書房なのか、長椅子と、肘掛け椅子と、腰掛がおいてあり、ゆったりと過ごす空間が描かれている。松の鉢、活け花があり、鳥かごに尾が太い鳥が飼われている。
この頃鳥に興味がわいて、この飼い鳥はなにか、気になってきた。清から日本(江戸時代)に輸入された飼い鳥は20種類以上ある。磯野直秀氏の「明治前動物渡来年表」をみてみると、鳥籠で飼えそうなのは、九官鳥、紅インコ、青インコ、ハッカチョウ、カナリア、鸚鵡、紅雀、十姉妹、文鳥、砂糖鳥、高麗鶯あたりだった。
砂糖鳥は、甘いものが好きなインコ。
茶杯の絵の鳥の姿からすると、九官鳥、ハッカチョウ、オウム、インコ。
磯野氏によると、宝暦年代の値段(元値)が、「華蛮交易洽聞記」に書かれている。
九官鳥 300目
ハッカチョウ 37匁5分
オウム 32匁5分
インコ 78匁
九官鳥が断トツに高価な鳥で、インコは九官鳥の4分の1。
ハッカチョウとオウムは、インコの半値だった。高価な九官鳥は茶杯の絵に似つかわしくない。インコ、オウムも、色がけばけばしい。
黒の翼の左右に白い斑があり、声が良く鳴きまねもするハッカチョウがふさわしいと思う。
ムクドリの仲間で、「八哥鳥」と表記される。哥は「アニキ」の意。「叭々鳥」ハハチョウとも称されて、日本でも伊藤若冲らが好んで画題に選んだ。枝に止まる姿、飛翔図。籠の鳥としては描かれていないが、清のころ、好んで飼われた。
大きくて頑丈な籠が必要で、雑食でもってたくさん食べたくさん排便するそうだ。アニキの名の通り、なんか、逞しそうな鳥である。