カルガモは紀皇女には似あわない

  秋になって、鳥たちも生き生きしている。休日に近所を散歩すると、側溝からサギが飛びあがって、電線にとまった。側溝をのぞくと、獲物のザリガニがいた。
 
イメージ 1
 
 小川にはカルガモが4羽にいて、頭をもぐらせて餌をさがしていた。
 
イメージ 2
 
  殆んどのカモが外国にわたってしまった後、日本にとどまって暑い夏をやり過ごしたカルガモは仲良く群れている。
 
  どうして、カルガモというな名のか。
 万葉集に、軽の池のカモを題材にした紀皇女(きのひめみこ)の歌があって、これを由来とする説が有力らしい。
 夏の歌なので、カモはカルガモしかいない。歌われた軽の池のカモは、カルガモだから、後世の学者が「軽鴨」と命名したらしい。歌はー。
 
 軽の池の浦廻(うらみ)行き廻る鴨すらに玉藻のうへに独宿(ひとりね)なくに (巻三 390番)
 
  梅原猛氏の解釈はすごい。
 「軽の池の浦を行き廻る鴨さえ独りねない。どうして私が男と寝て悪いのか。という開き直った女の歌である。これは姦通がばれたときの歌ではないか」
 軽皇子の妃だった紀皇女は、弓削皇子らとの姦通のゆえ変死を遂げたという説からきた解釈らしい。
 
 カルガモは群れているが、オシドリのような夫婦ではない。夏の情景を歌った写生ではなくて、「浦廻=うらみ」と「怨み」をかけたような心情吐露の歌だから、カルガモにこだわる必要もないのではないか。
 
イメージ 3
 
 カルガモ=黒鴨説もあるという。クロガモがカルガモになったという。平凡だが、こちらの方がまだいいのではないかと思う。カルガモは、韓国では「白い頬をした黒い鴨」というのだという。ちなみにモンゴル語で黒はカル、ハル。カルガモ=黒鴨説に一票いれたくなる。
+++++++++++++++++++
 カルガモと、よく似たマガモのメスを見分けるとき、カルガモのクチバシの先の黄色を目印にしている。黒と黄がはっきりしている。
 英語では、Yellow-nib duck =黄色い口先のカモ という呼び名もあるという。わかりやすい識別法だと思う。