神獣鏡の竜虎たちは獅噛みのオリジンか

  学生の頃、暇つぶしで、三角縁神獣鏡の虎や竜の絵をしらべ、ノートに書きうつしたことがあった。
 
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  虎と竜は対で表現されていることが多いが、区別するのは、角のあるなし。
 しだいに、角があるのが竜とわかった。
 
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  ともに、帯のようなもの(巨)を口にくわえていた。そのころのノートをみると、巨について
 兵器の一  後藤守一
 架台の脚  駒井和愛
 雷光電光  原田大六
 と諸説あることをしるしていた。
 古墳時代の巨をくわえる竜虎は、後世の、舞楽太平楽」の武人の装束「帯喰」に類似していることを発見し、おどろいたことがある。
  サントリー美術館の「日光輪王寺舞楽装束」展で帯喰が展示されていたのだ。
 
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  四臈のうち、一臈、三臈が写真のような、角あり、角なしの帯をかむ二体だったのだ。江戸初期の制作だが、古体の面影をのこしているという。室町をこえて、平安、奈良時代までたどりつけるのかはわからない。ただ、巨をかむ竜虎が、帯をかむ帯喰につながっているとおもった。
 
  そののち、四天王像や十二神将像に、帯をかむものがあるのをみつけた。福井・小浜の羽賀寺を参詣した時、毘沙門天像のおなかに、怖い顔をした帯喰をみつけた。
 
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 帯喰だ、とおもったが、獅噛み=獅子が噛むこと、といわれるらしい。
 
イメージ 5 興福寺東金堂正了智大将像の獅噛み(小杉一雄「日本の文様」)
  
 獅噛みたちも、帯をかんでいる。
 金沢では、観光用に駅にかざられた、加賀獅子頭が刀をかんでいるのを発見した。
 獅子頭は、子どもの頭ばかりか、刀をかむのか。思考は、 ここで、止まったままだった。
 
 猫に額をかじられて、こんな、昔のことを思いだす結果になった。