土曜日にはウイグル・レストラン

 土曜日には家族で、ウイグル料理を食べに行くことが多い。シシカワブから始まって、ワンタンスープのチュチュレ、鶏と野菜炒め、ミートパイのグシトン、焼きうどんのソメンと食べる。
 
 主人は、ウイグル人
 
 3.11の大地震の後、店に行くと、中国人の従業員がみな瀋陽行きの飛行機で帰国してしまい、とても心細いと、話していた。あの時、日本を脱出する中国人が成田に押し寄せて、航空運賃は3倍に跳ね上がっていた。残った主人は、自慢の故郷カシュガルには、当分帰らない、といった。
 
 1年経ち、今は、落ち着きを取り戻し、主人と余り話すこともなく、われわれは、ウイグル料理を平らげる。
 
 文革時代に下放内モンゴル(最近は南モンゴルという)を択んで生活した張承志「モンゴル大草原遊牧誌」を大分前に読んだ。当時、モンゴル人の遊牧生活を生々しく伝える本が少なく、この著書が、その手のさきがけとなったのだと記憶する。とてもいい本だ。
 
 彼が回族であるのを、後で知った。小説家でもあり、学者でもあって、日本の大学で学び、いまも時々日本で講演をしているようなので、ぜひ聞きに行こうと思う。
 
 ウイグルのこと、回族のことが、新聞紙面に掲載され出している。中国内の、ウイグル人が大変困っているらしい。インドの独立の時、日本に亡命したボースを助けた、パン屋の中村屋たびたび日本に亡命した孫文に、資金援助した梅屋庄吉
 
 そういう見上げた人物は戦後、なかなか現れない我が国の事情があるのだろうが、ウイグルの人が困っているなら、少しは役立ちたいと思う人々は、日本に少なくないはずだ。