馬も駱駝も飛行機も左から乗降するものだが

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 モンゴルで出会った子供。自在に馬を扱って、私の長男もこの馬に乗せてくれた。当たり前だが、わが子は、写真の手前側、つまり馬の左側から鐙に足をかけ、跨いだ。左から乗るのが、世界的な常識といっていい。
 飛行機の搭乗口も、左側。そもそも、船が左舷を港に着け、左から乗降したことに由来するらしい。昔、船は舵を右側に付けて居たので、岸壁に着けるのは左舷となった。
 英語でも左舷をPORTSIDEというらしい。
 
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 モンゴルの駱駝も、ごらんのように左から乗る。丁度飛行機のように。漫画家バイディの作品だ。意訳すると、「砂漠の海の快速号に搭乗下さい」。
 
 ところが、である。僕は、モンゴル人に、加藤剛出演の「チンギスハーン」のドラマを見て、笑った、と言われたことがある。理由は、「反対側から馬に乗ったんだ。みな大笑いした」。馬と生活を共にする彼らからすると、信じられないことだったようだ。
 
 帰国して調べると、日本では、戦国時代、右側から騎乗したのだという。理由は、もっともらしく、刀が当たらないように、だった。刀を理由にするのは要注意だ。というのも、鷹狩りで、日本では左手に鷹を止めるのは、右手で刀を抜けるためという俗説がまかり通っているからだ。刀は関係ない。古墳時代の鷹狩りの埴輪でも、左手に鷹を止めているからだ。
 
 実は、埴輪に馬子が馬の右側で、馬の手綱をひいているものがある。 
 
 奈良・二上山麓の香芝市、下田東古墳から出土したものだ。
 
 馬は神経質なので、モンゴルでは、乗り手は、必ず馬の左側にいるようにしている。そのでんで行くと、日本では、古墳時代も、戦国時代のように、右から騎乗したのではないか。この手の馬子の埴輪が、ほかにも出土すれば、はっきりするが、左と右の文化で、日本は独特の習慣を持っていると考えざるを得ない。