リュウキュウアオヘビで、奥泉光に感心したこと

 やっと時間に余裕が出来た。
 上野の「ゴヤ展」、映画「エンディング・ノート」。気にかかっていたものを見た。
  赤坂で、仲間の年末チャリティオークションに参加して、持ち込んだグッズをセリにかけ、 ワインと食用油フリーズドライ醤油をセリで落とした。
  フリーズドライ醤油は「御飯はもちろん、フランスパンにかけても旨いんです」という。「サクサク食べる香ばし醤油」は小さな発見だった。
 
 沖縄県令の「上杉茂憲」は読んだが発見なし。
  奥泉光「軍艦『橿原』殺人事件」を読んでいるが、リュウキュウアオヘビが出てきた。沖縄にはまだ、違うヘビがいるのだ。
 小説では、軍艦の海図台にこの「一尺ほどの若草色」のアオヘビが現れる。登場人物が、蛇の頭を手でぎゅっと掴むと、腕にぐるり巻きつく。「こいつはリュウキュウアオヘビの類ですな」と男がいう。
 鼠が猛烈に繁殖している軍艦「橿原」。指導力を失っている艦長は「蛇は鼠を捕るだろう。捕らんかね」と場違いなことを言い、精神に異常をきたしてきたことを暗示する。そんな場面だ。
 
  リュウキュウアオヘビはアオヘビ属だが、青というより黄緑、あるいは緑褐色、ミドリのヘビのようだ。大きくなっても1㍍以下。ミミズを主食にしているので、鼠は捕らない。沖縄本島にも生息する。
  作者は、なぜリュウキュウアオヘビを登場させたのだろうか。 異変が続く中で、軍艦自体が「龍」に見立てられる場面がある。
 そうか、このヘビの緑色は、まさに絵で見る龍の色。龍の子供として、あるいは眷属として「リュウキュウアオヘビ」が選ばれたのだろう。
 
 ゴヤ展で見たゴヤの寓意的な絵画もそうだが、作家の仕掛けがある。小説のこんな小道具の描写も、作家は考え抜いて選んで書いているのだ。
 リュキュウアオヘビは、龍の仲間かと勝手に感心した。
 
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