去勢の決断が我が家にも

 英会話の先生スチュワートさんと、猫の去勢の話になった。
 去勢する、は英語で「CASTRATE」だった。
 高い声を保つために、去勢されたキリスト教会の男性ボーカルを、カストラートといって、映画のタイトルにもなったのを思い出した。関連する言葉なのだった。
 
 スチュワートさんは、北京の紫禁城で、宦官になるために去勢した部屋を見たことがあるといった。
 「切った後、石灰をつめて栓をする。栓を取った時、ピューと小水が出れば成功。出なければ死んでしまう」 と三田村泰助さんの「宦官」で読んだうろ覚えの記憶を伝えると、スチュワートさんは「本当!」 と声をあげた。
  さらに「宦官の出身地は、中国の南方ばかり。宦官には出身地の閥がある」というと、「なんで?」とまた興味を持つ。
 「日本には宦官はないね」と聞かれる。
 「ない。茶坊主が近いけど、去勢はしていないね。戦国時代、茶坊主は、合戦の前に、主人に試し切りされる存在だった、って読んだ記憶があるけど」
 「チャボーズ、それなんですか。殺されたって本当ですか」
 もう、記憶だけでは、答えられない。
 
  去勢の文化が日本に伝わっていないことをあげて、考古学者が江上波夫氏の騎馬民族説の否定の根拠の一つとしていた。動物の去勢は、北方の遊牧文化で行われてきたもので、中国、朝鮮には伝わっている。 日本にないのは、征服王朝も来なかったからだ、というものだ。 
 
 さて、猫だ。子猫はどうしたらいいか。飼い主が現れない場合、考えないとならない。わが家の家猫を見ていると、去勢されて大人しくなっているのが、可哀想に思えることがある。しかし去勢しないと、雄猫は部屋におしっこをして臭い付けをするようになる。とくに発情期は大変らしい。都会で猫を自然に飼うのは、ひと苦労なのだ。
 無邪気に飛び跳ねている子猫をみると、人間に彼のタマタマを取る権利があるのか、考え込んでしまう。
 
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     紫禁城裏。去勢の部屋なんてあったけ