猫が迷い込んだ

 猫が迷い込んだ。
 
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 家に置いておく事に決めて、「迷い猫」のポスターを作り近所に貼った。2日過ぎても連絡がないので、動物病院に連れて行って検査をして貰った。
 触診を終えて、若い先生は、「出べそですね」と言った。
 第一声が意外だったので、「はあ?」と反応した。
「触ってみてください。出ているでしょ。何年かすると、そこから腸が出てくる可能性がありますので、注意して下さい」
「はい」
「ノミがいますね。これがノミの糞です。人間にはうつりませんので大丈夫です」
 両手で毛を探ってノミを探し出したが、逃してしまった。
「あの、うちに猫が居るんですが」
「移っているかも知れませんね。では、2匹分のノミ取りのクスリを出しましょう」
「猫エイズかどうか心配なのですが」
「そうですね。ちょっと検査にお金がかかりますがいいでしょうか。5000円です」
「そのために来たので、調べてください」
 女性の助手を呼んで採血。後足に針を入れた。ニャアと一声挙げたが、ほんの少量を採って簡単に終了した。
「30分で結果がでますので、連絡します。それでは、ノミ取りの薬の付け方を教えますので、お宅の猫ちゃんにもしてあげてください」
 先生は猫の首の真後ろ、舌で舐められない箇所に、ゲル状の薬を流してつけた。
 
「先生、猫の年齢わかりますか」
「1歳ぐらいでしょうね。これくらい毛が多くなると、判りづらいですね。それにしても、人に慣れていますね」
「あの、もうひとつ、念のためこの子の性別の確認をお願いします」と質問すると、先生は、猫の尻尾を持ち上げて
「タマタマが付いていますね、オスです」
と軽くタマタマを抓んで見せた。
 
  電話での結果は陰性だった。安心したが、はて飼い主から連絡がなかったらどうしよう。