沖縄のF15墜落で思い出したこと

 7月に沖縄本島の北西200キロの海上で、自衛隊のF15戦闘機が墜落したが、その事故調査報告が9日にあった。沖縄タイムズなどによると、原因はパイロットが失神したか、あるいはそれに近い状態だったため、としている。
 
 思い出した話がある。戦闘機乗りだった人に聞いた話だ。偶然知り合い、挨拶代わりに超音速機の乗り心地を質問したのだ。
 意外な答えが返って来た。
音より早く飛んでいるので、操縦席は無音の世界、とても快適な空間ですよ
 
 続けてー。 ただし、一瞬、上下が分からなくなることがあるのですよ、正常に飛んでいるのか、頭を下に逆さに飛んでいるのか分からなくなるんです」。
 
 上下の感覚が喪失するというのだ。
 操縦士の中には、胸のポケットにボールペンを差しておいて、不安に思ったとき、素早くボールペンを抜いて落とすという。
 当然下に落ちると思っていると、頭の方に上がってゆくことがあり、上下逆さまであることに気付くのだという。
 
  特に夜は間違えやすい。
 空で星が輝いていると思っていたら、海の漁火の光だった、というケースもよくあるのです」。
  星に向かって上昇したつもりが、じつは漁火に向って下降していた。墜落事故に直結する。
 
 今では、事故防止のため計器の改善が進んでいるのかもしれない。ただ、この話を聞いたおかげで、墜落事故が、生々しいものに思えるようになった。「パイロットは、漁火と星と間違えてしまったのだろうか」と。