沖縄生まれの2人の親友は、ともに、泳げない。
沖縄は海流が激しい。子供のころから、海は怖いところ、と刷り込まれたという。
それでも、2人は、波上の海が怖かったという。
山之口貘さんの詩に「耳と波上風景」というのがあって、次のように閉じる。
ぼくは少年のころ
耳をわずらったのだが
あのころは波上に通って
泳いだりもぐったりしたからなのだ
いまでも風邪をひいたりすると
わんわん鳴り出す
おもい出の耳なのだ
詩人も少年時代、波上で、泳いだのだった。