馬に逃げられる

 西部劇ファンのMさんのおかげで、古くなったビデオの西部劇が回ってくる。
「怒りの河」「拳銃王」「西部の人」「夕陽の群盗」。
 
 ただ、西部劇には、気になるシーンがある。主人公らが、馬を降りて、手綱を柱や杭や、木にくくる場面だ。
 
 大丈夫かな・・・ と思うくらい、結わえ方が、あっさりしていることがある。馬が逃げないかな、と余計な心配をしてしまうのだ。
 
 モンゴル旅行で見聞きするまで、知らなかったのは、馬は、逃げてしまう、ということ。
 
 ウランバートル郊外のヌフトの谷で散策していたら、男が、乗ってきた馬に逃げられてしまい、途方に呉れていた。友人を呼んで、オートバイで探したが見つからず、とうとう夕暮れ、オートバイの後部座席に坐って、戻って行った。珍しいと思い、モンゴル在住の日本人に聞いたら、頻繁にある出来事なのだという。手綱をきちっと結わえていないと、さっと逃げられてしまうらしい。酔っていれば、なおさら。「それは、たくさんの悲喜劇がありますよ」
 
 西部劇でも、馬に逃げられた悲喜劇があったのだろうな、と思う。