沖縄の机を愛用している。
四角くない。「へ」の字に湾曲した長い机である。沖縄では北部の山原(やんばる)などにしか樹木がないので、地元の木工作家は貴重な木材を大事に使っている。方形に成型せず、節穴もそのまま残し、松脂で埋めている。
作家の渡久地さんからは、展示の「琉球松」の机は売れ、材質は「樟=クス」しかない。それでいいか、と丁寧な手紙が届いた。
しばらく立ってやって来た机は、プーンと木の香りがした。一つしかない小さな引き出しをあけるとさらに香った。使い込んだ今ではほとんど匂わなくなったが、表面を磨くとまた香りが戻る。
沖縄の希少なクスノキで作ったと思うと、大事に使おうと思う。
モンゴルでも、クスノキは「匂う木」(ザールト・モド)というのだそうだ。