蕪村とクッキング

  休日は、いつも細に代わって朝食を作る。

 簡単なもので済まそうと、昨日は肉汁うどん。

 今朝は、納豆スパゲッティとベーコンと玉葱のコンソメスープ。

 簡単メニューだが、納豆には味噌を加え、スープには白ワインを入れ若干の工夫はしている。

 

  葱買て枯木の中を帰りけり

 

 手習いで料理を始めると、与謝蕪村のこんな買物の句にも親しみを覚えてくる。

 レジ袋もなく、新聞紙もなかった時代、葱は紐を使って、縛って運んだのだろうか、と想像してみる。

 

 鍋の季節なので、

 

  埋火や終には煮る鍋のもの (うもれびやつひにはにゆるなべのもの)

 

 という蕪村の句も、急がず埋火でじっくり鍋を温める料理の光景が目に浮かんでくる。火を足さないのは節約からか、あるいは、夕餉までたっぷり時間があるからだろうか。

 

 伝えられるように、蕪村という人は、感覚は現代人と近いものを持っている。

 どうしても、僕らはチョンマゲの時代と、ざんぎり頭になってからの時代とを、分けて考える教育を知らず知らずに受けてしまっていて、誤解しているようだ。

 

 蕪村はすしの句もたくさん作っているが、食卓のすしより、

 

 すし桶を洗へば浅き游魚かな

 

 といった「食器洗い」の叙景句(家の側溝などの清流で桶を洗う光景だろう)のほうが印象深い。