蛙の傘(ヒキノカサ)という小さな野草は、茎が日に日に伸びている。結構逞しいかもしれない。
カエルは愛嬌があって好ましい。確か、チベット近くの岷江沿いの岸壁に、カエルの大きな絵が残っていて、この辺の少数民族が古代からカエルの信仰を持っていたという記憶がある。(調べ直さないと)
日本では、ヒキガエルが古く古事記、日本書紀の出雲神話に「タニグク(多邇具久)」として登場している。日本でも、好まれている方の動物かもしれない。
タニグクの登場する神話はー。
出雲の岬で、オオクニヌシノミコトが海の向こうから船でやって来る小さな神に気づいた。名を問うが答えない。周りの神々に聞いても知らないという。
そこにタニグクが口を出す。「クエヒコが知っている」。早速クエヒコを呼ぶと、「カミムスビノカミの子、スクナビコナ」とすらすら答えた。
オオクニヌシは、カミムスビノカミに確認し、自分の子であるとの証言をえた。カミムスビは、オオクニヌシとスクナビコナに、ともに国作りに励めというのだった。
神話時代の出雲の「入国管理」も結構、キチンをした対応をとっていたと思う。
来訪した人物が黙秘する → だれも人物を知らない→ データを持った物知りを呼ぶ → 物知りが特定する → 裏付けを取る
タニグクは、クエヒコの存在を知らせる重要な役割を担った。クエヒコは、山田のカカシである、と古事記に書かれている。知識人クエヒコの存在を神々は知らなかった。タニグクは知っていた。タニグクも物知りの仲間のようだ。
浮世絵師鍬形蕙斎描く蛙の略画(鳥獣略画式から)