コロナとニュートン

 先輩からGWの前に📧があり、「水戸黄門の現役時代、ロンドンはペストで閉鎖された。ケンブリッジ大のひねくれ学生が、ロンドンを脱出し田舎で18か月過ごすことになった。その間、学生はぼんやり庭でリンゴの実が落ちるのを見て、万有引力の発見をした。数学、物理の発見もした。だから、世界の疫病史の中で、唯一の輝かしい18か月といわれている」
 こんな内容だった。若いころに教わった記憶がよみがえったと。
 

   📧がきっかけになったのではないが、GWの間、今までと別の時間を過ごそう、とおもった。コロナ報道のテレビ、新聞は一切見ず、情報はネットだけにして、やり残していることをコツコツやろうと考えた。早朝、細と散策し、朝昼の料理は自分に任してもらった。

 

 黄金週間は終わってしまった。明日事務所に顔を出す。

 この間、歴史学者喜田貞吉が、世間から四面楚歌にあって、危険な目にあった教科書事件の回想を読んだ。ただ一人、偏見を持たずに接触した人間がいたというのが心に残った。警視庁が身辺警護で派遣した大塚署の警官石倉清次郎氏だったという。「至って謹直な人」で、夜分家に詰めて居るときの職務を見て、「廉直さに、一方ならず敬服し、且つ感謝した」と書いている。

 続けて、「石倉氏は其の後伝染病予防に従事中病毒に感染し、遂に職に殕(たお)れられ、遺子静夫君今は天津総領事館に奉職して居られる」と付け加えていた。

 

 コロナのパンデミックの中、石倉氏のように、職務で亡くなる人がいるのだとあらためて思うとともに、ニュートンのような若い人が、この時間が停まった期間に現れるといいと思うのだ。