よひらが咲いて下葉の蛍を思う

 我が家に紫陽花の鉢があるが、もうだいぶ前から花をつけていて、ガクアジサイかと思って、細に確認すると、ヤマアジサイかもしれない」という。いずれにせよ、よひら(4つの花弁)で、「毬」に例えられるアジサイとは違う。
 
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  和歌は苦手だが、藤原定家の歌に「よひら」のアジサイの歌があったのを思い出した。
あぢさゐの 下葉にすだく 蛍をば よひらの數の 添ふかとぞ見る
という藤原定家の文治3年(1187)の歌だった。
 
 無手勝流に解釈すると、あじさいの下葉に、よひらの花弁のように4つの蛍が集まって、もうひとつ花を添えているようだ」。平安も末、定家が歌ったあじさいは、ヤマアジサイガクアジサイといった、4弁のものだったことが分かる。
 
 蛍が出るからには、夕景だろう。我が家に、よひらが咲いたということは、もう蛍の季節なのか。蛍を見なくなってもうずいぶん経っていることに思い当たった。気象庁が発表する今年の「ほたる初見日」を見てみた。
  熊本は4月22日、宮崎は4月27日
と、ともに平年より19日も早くひと月前に姿を見せていた。
 定家が暮らした京都も5月15日
と平年より18日早く、東日本では甲府だけが5月17日で、19日平年より早く出現し、尻を光らせているのだった。
 
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 温暖化で、アジサイも蛍も早くなっているようだ。