博多のサザエさん、桜新町のサザエさん

 友人ら3人で、淡路町で飲んだ。別れ際「家どこだっけ」と聞くと、「桜新町サザエさんの町です」と永田町に勤める一人が言った。

桜新町だったのか。サザエさんの町は、桜新町ばかりでなくて、博多にもあるのを知っているかな」と聞くと、「ほんとなんですか」と半信半疑。桜新町の地元で暮らす人たちにも、知られていないらしい。かくいう私も今年知ったのだが。
 6月下旬、仕事を終え、博多・天神を歩いていると、18番山笠新天町に、「サザエさん」の山笠が飾られていた。

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 なんであるのかなあ、と思ったまま、やり過ごしてきたが、10月に再び福岡を歩いて、またしてもサザエさんに出会ったのだ。今度は、サザエさん通り
 
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 謎が解けた。佐賀県生まれの長谷川町子は、一家で福岡に移住して少女時代を過ごした。本人は上京して漫画を学んだが、空襲が激しくなり、福岡・西新の実家に戻った。敗戦後も福岡で過ごし、昭和21年、福岡市で創刊された夕刊紙「フクニチ」から連載漫画の依頼が舞い込んだ。それが「サザエさん」なのだった。
 実家近くの百道浜を妹と歩きながら、新作漫画の名前、キャラクターを考えたという。サザエ、ワカメ、磯野家と、目にした海産物をヒントに「サザエさん」が生まれたのだ。

 今では、百道浜の海岸は埋め立てられたが、西南学院大の西キャンパスには、元寇の防塁が残っていて、13世紀にも此の辺りが海岸線だったと知れる。

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 平和な家族の漫画、サザエさんが、敗戦直後、13世紀フビライ軍に備えた元寇の防塁のあたりで発想されて生まれたのかあ、といささか感慨を覚えた。
 サザエさんに登場する磯野家の猫が、博多・新天町の飾り山笠にも、キャラクターのひとつとして作られていた。

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はて、この猫は、博多の猫か桜新町の猫か。