福岡から昨日戻った。福岡空港で土産物を探していたら、仙厓の最中があったので、何も考えずにすぐ買った。仙厓のことは、前にも書いているが、菓子になるほど世に知られるようになったのかと思った。
江戸時代の禅僧、仙厓(1750-1837)は、美濃(岐阜県関市)で生まれたが、武州の永田(横浜)で修行して諸国行脚にで、39歳に博多・聖福寺の住職に。88歳で没するまでこの地で活動したので、博多の老舗の菓子處が取り上げて不思議はない。
仙厓の用いた「印」のひとつの形を、そのまま最中にしている。
驚いたのは、最中の一つ一つの包装に、仙厓の言葉がそれぞれ挟みこまれていることだった。初めに手に取った最中には、
「あの月が 落ちたらやろう 取って行け」
といかにも、仙厓らしい、人を食ったような、言葉。
細が食べたのは、
「流れ行 世のなか川を 渡る身も 心を留むる 春よしの花」
という春の歌だった。
仙厓のことを広めるには、郷土の菓子はまたとない「媒体」だと思った。皮をむいた小豆を、餡にしているので、色は薄墨風、味もあっさりしていて、一遍で気に入った。