猫が出て来る「マザーグース」のとんでも解釈

 英国人のスチュワート先生と毎週会うので、英国の質問をいつも持ってゆく。

 猫の出て来る「マザーグース」について、思いついたことがあったので、ぶつけてみた。
 その歌は、猫とバイオリン
 
 Hey、Diddle、Diddle、
 The cat and the fiddle、
 The cow jumped over the moon.
 The little dog laughed 
 To see such sport、
 And the dish ran away with the spoon.
 
 えっさか ほいさ
 ねこに ヴァイオリン
 めうしがつきを とびこえた
 こいぬはそれをみて おおわらい
 それでおさらは スプーンといっしょに すたこらさ
    
 谷川俊太郎の訳があって、もう十分なのだけれど、月を飛び越えたり、皿とスプーンが逃げるって? 語呂合わせにしても不思議に思ったのだ。
 そこで、パブでのバカ騒ぎの歌と考えてみた。
 「CAT & FIDDLE」といえば、英国の代表的なパブの名前。
 
 イメージ 1「猫とバイオリン」(パブ)で、酔っぱらった牝牛がテーブル(丸い月)を飛び越える。小犬(男の客)は囃し立てて喜ぶ。皿とスプーンは割れたら大変と、片付けられる―と。
 
 スチュワートさんの返事。「丸テーブルを月だというのは、面白い」
 「しかしね」と少し考えてから、「COWが引っ掛かる。COWは太った女性を指すから、パブでテーブルを飛び越えるというのはどうかな」
 COWが難点か。スチュワートさんは子供の頃から、暗唱しているので、マザーグースの歌の意味など考えたことがないのだという。
 
 英国のパブに、CAT & FIDDLE の名が付いたわけとして、こんな説がある。ヘンリー8世(1491-1541)の最初の夫人キャサリン・オブ・アラゴンのニックネームCATHERINE LA FIDELE の名に由来していると。
 
 夫人は、元は兄のヘンリー7世の妻だった。7世が急逝したため、政略結婚もあって、異例として次男のヘンリー8世の妻となったという。皮肉の歌が多いのが、マザーグースであれば、テーブルを飛び越えたのが夫人で、喜んでいた小犬が、ヘンリー8世だった…。
 
 夫人がお酒好きで、ヘンリー8世が小柄だったことを証明しないとならないが、こんな仮説では、怒るだろうか、スチュワートさんは。