モンゴルの草原に、沢山の石人の文化財が残っている。
私は今まで、突厥時代の古い石人に目がいきがちだったが、もっと新しい時代の石人にがぜん興味が湧いてきたのだ。
というのも、石人の座ってる椅子が素晴らしいことを発見したからだ。
① ②
曲線が美しい。②の椅子は、背中からの曲線が腕まで続いて先端は上にカールしている。
①の椅子は、脚がクロスしている。FOLDING CHAIR=折り畳み椅子だろう。草原の移動生活に向いている。
どこで作られた椅子だろう。トルコやロシアの古い椅子を探したが、こういう曲線のものはない。
みつけたのは、やはり隣国のものだった。
明、清代の高価な黄花梨(huanghuali)の曲線に似、しかもそっくりな椅子があった。
中国南部、海南島が主な産地の黄花梨は、美しい艶、流水のような曲線をもたらすため、家具の主要木材として重用されたという。
美しいので、海外のオークションでいまも目が飛び出る価格で取り引きされている。草原の王たちも、黄花梨の家具に魅せられたのだった。
【注】石人のイラストは、「APXEOЛOΓИЙH CУДЛAЛ(考古学研究)」(1987)の、「東モンゴルの石人」から。