向島の豚骨ラーメン店に飛び込んできたベジタリアン

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 細が「向島百花園」(東京・墨田区)へ行きたいというので、出かけた。
 
 ついでに向島界隈を散策し、昼過ぎに道沿いの豚骨ラーメン店に入り、客のいないカウンターに座った。
 
 と、40代後半と思しき男性旅行者が勢いよく店に入ってきた。
 海外からの旅行者だった。紙切れを一人で店を切り盛りするおかみさんに見せ、「ベジタリアンです。肉と魚だめです」と日本語で注文した。
 困ったおかみさんは、「とんこつスープは大丈夫ですかねえ」と慌てて客の私たちに助っ人を求めてきたので、説明すると「NO! NO!」。
「ライス、ベジタブル、エッグOK」と大声で答えた。
 
 親切なおかみさんは、大盛のご飯を出し、スライスしたゆで卵とキュウリでサラダを作った。
 おかずが足りないのを心配しておかみさんが「豆腐もあるけど」というので伝えると、「NO,THANK YOU」といい、ご飯に醤油をかけてうまそうに食べて、おかわりした。
 男性客は日本語は話せず、英語が片言だった。ローマの近郊の地方都市から来たという。10日ほどかけ知床、大雪山と北海道をまわり、東京で4日過ごし、満足しこれから夜8時成田発の便で帰国するという。
 
 私がおかみさんに男性の話を伝えると、ローマという言葉が耳に入ったのだろう、男性は「ローマではない、その近く」と、念を押した。なぜかローマ在住でないことに拘っていた。
 
 菜食主義なのに卵は食べていいのか、と細は気にした。欧州に多いという「ラクト・オボ・ベジタリアン」らしい。植物性食品のほか、乳製品、卵を食べるベジタリアン。旅行先の北海道でも、チーズ、バターは食べたはずだ。
 
 おかみさんが不安そうなので、「お代を伝えましょうか」というと、計算しながら「400円です」という。伝えると納得し、ご飯をかきこんでいた。
 
 先に店を出たが、別れ際に握手を求められた。豚骨ラーメン店に飛び込んでくる、ベジタリアンベジタリアンだが、あわてながらも、それにこたえて料理しているおかみさんをみて、向島界隈もまた、おもしろいな、と思った。