犯人はツチハンミョウなのか

 子供のころ、ハンミョウが毒虫だと、本を読んで思い込んでいた。人の命を奪うくらいの猛毒があると。
 ハンミョウは、ミチオシエともいわれ、山道を人が歩くと、その前に現れ、道を教えるかのような行動をとる。
  兄が箱根へ林間学校へ行くとき、
 「ハンミョウに気を付けたほうがいいよ」と本気で心配した思い出がある。
  なにをバカなことを言っているのだろうと、思ったに違いない。
 
 思い込んでいた毒虫はハンミョウでなく、ツチハンミョウ科の別物だった。
 江戸時代に、大陸から知識が入った時に取り違えがあったのだ。
 薬扱いして日本で大事に育てた「朝鮮人参」は、栄養のない別の人参だったのと似ていて、毒をもったツチハンミョウと、無害のハンミョウを江戸の昔から誤解していたのだ。
 
  泉鏡花の小説を読むと、この作家もハンミョウが毒虫だと思っている。多くの人が勘違いしていたのだ。
 
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 モンゴル・ニュースのWEB版を見ていて、「黒い甲虫に噛まれ、死亡」という記事を発見した。
  恐れていた虫は、こいつかな、と思った。「ハラ ホルホイ(黒い虫)」という名前だ。モンゴル東部のスフバートル県で3人がかまれ、うち一人が死亡したとある。黒いツチハンミョウには、オオツチハンミョウがいるという。モンゴルの黒虫は、これなのか。
  ただ、ツチハンミョウは羽が退化していて、背中を見ればわかる。モンゴル・ニュースのイラストを見る限り、背中に退化した羽はない。ツチハンミョウは捕まえられると、カンダリジンという猛毒を足から分泌する。すぐ皮膚が水ぶくれするという。噛むというのも聞いたことがない。噛まれて、皮膚がはれて、死亡する、というモンゴルの報告と違うようにも思われる。
 
モンゴルには猛毒の甲虫がほかにいるわけだ。夏休みの宿題としよう。