先週、秩父の32番札所で、おもいがけない岩のぼりをした。
途中で、花をみつけた。
シモツケだった。
下野の国(栃木県)に、ちなんで名づけられた、らしい。下野以外でも、日本中の山野で、さいているのに、なんでだろ。
1)下野出身の人物が、都でシモツケの名をひろめた。
2)下野を旅した人物が、歌などでこの花を紹介した。
3)その他
1)下野出身の有力者に、下毛野氏がいる。この家系で可能性を考えてみる。この家は、鷹狩を職とするなど、興味深い。1330-1331年ごろの「徒然草」66段に、鷹匠の下毛野武勝がでてくる。有職故実にうるさそうな人物だ。
可能性があるのは、奈良時代の漢文学、歴史学者の「下毛野虫麻呂」。長屋王に目をかけられ、藤原不比等がなくなり、長屋王が右大臣になった721年に、学者として表彰され、式部員外少輔になっている。長屋王宅での漢詩も、「懐風藻」におさめられている。博物学にも強そうだ。
植物は、紅躑躅、桜花、卯の花(ウツギ)、尾花、橘、黄葉、直さ麻と歌に入れ、枕詞ではあるが、野老葛(トコ ロヅラ)、橿の実、山たづ(ニワトコ)ともちいた。下野での歌は残っていない。未発見の歌があり、下野で花が歌われた可能性はないか。それがシモツケ。
と妄想は大きくなってゆく。
おそらく、3)のその他、が正解だろう。若い人たちに、ぜひ、正解をみつけてほしい。
下毛野虫麻呂。高橋虫麻呂。
ナントカの虫といわれるけど、「虫」は奈良時代から、オタク系の意味をふくんでいたのではないか。