仮面姿のナムスライとゴンゴル

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 表紙の写真は、モンゴルの毘沙門天。右の仮面が毘沙門天=ナムスライ(左は白大黒天=ゴンゴル、木村理子氏撮影)
 
 仮面をかぶって野外でおこなわれるチベット仏教密教修会「チャム」が、チベット仏教圏の国々の寺院で、次々と再興されているという。モンゴル寺院でも長らく途だえていたチャムが復活した。
 木村理子さんの「復興後のアマルバヤスガラント寺院のチャムの特色」(「日本とモンゴル125」=日本モンゴル協会発行、2012年9月)をよむと、チャム復活の様子、内容、構成、それから、そもそもチャムとは何なのかがよく分かる。
 
  チャムは、あくまで密教の修会であって、芸能としての仮面舞踏劇ではないのだという。仮面のホトケ、仮面の神々が、跳躍、旋回など障碍の魔をはらう踊りを披露するのは、見物客を楽しませるためではないと。
 
 チャムに登場する獅子=アリスランや、仮面姿でとびはねる激しい舞踊は、さかのぼって飛鳥、奈良時代に日本に伝来した「伎楽」のことを想像させてくれる。
 チャムの中心的存在ではないが、「呉公」の正体と推測した毘沙門天=ナムスライも登場し、同じ財産神の白大黒天=ゴンゴルとペアで行動するのだった。
 
 インドの財産神のKUBERA(クベーラ)は、チベット仏教にとりこまれ、
   ①  ナムスライとよばれる毘沙門天のほか、
   ②  ゴンゴルという、おなかがでた日本の七福神の大黒様のような白大黒天に、うまれかわって、財宝神の遺伝子をつたえたようだ。