猫に協力させて、なおも琵琶湖にこだわるわけ

イメージ 1
 
 我が家の猫に、琵琶湖のカッコウを真似てもらった。猫は下半身が太いので南東部がどうしても違って見える。
 
 琵琶湖の大地震は1185年7月9日(新暦8月9日)に発生した。そのヶ月前の3月24日(新暦4月25日)に壇ノ浦で平家が滅び、幼帝が海に沈んで亡くなったばかり。京都では地震は平家と幼帝の祟りとの噂が広がった。
 
方丈記」は、災害の様子を「山はくづれて河を埋み、海は傾きて陸地をひたせり。土裂けて水涌き出で、巌割れて谷にまろび入る」と伝えている。海は琵琶湖のことだろう。
 
平家物語」は、京都岡崎の法勝寺の九重塔が六重目までふりおとされたと語り、「愚管抄」は、比叡山の根本中堂がゆがんだと記した。余震も長い間続き平家の怨霊の流言はどんどん広がり、海に沈んだ幼帝や平家一族が「竜王の眷属」となって祟っている話になった(「愚管抄」)。
 
 怨霊を抑えるために登場し活躍したのが、耳なし芳一に代表される琵琶法師だった。平家の栄華と最期を、琵琶の演奏にのせて語り尽くして、鎮魂とした。
 
 琵琶湖竹生島には弁財天が長い間祀られている。琵琶を手にした弁財天もまた琵琶法師同様の役割を果たしているのだろう。琵琶という楽器は、異界と通じる鎮魂のツールと考えられたのだ。 
「海傾きて、陸地ひたせり」ー竜王の眷属による天変地異がないよう、弁財天は今も琵琶湖上の竹生島で平家の怨霊を封じている。
 
 後世になって、琵琶湖と命名されたのも、形の類似ばかりでなく琵琶の力を抜きに語れないのだと思う。(兵藤裕己「琵琶法師」(岩波新書2009年)を参考にした)
 
    +++++++++++++++++++++++
  
 標高85.614㍍の「高地」にある大きな水瓶、琵琶湖。東日本大震災の翌年だったか、ある私的なパーティで元宰相が予測される巨大地震で琵琶湖の決壊を心配するスピーチをした、と伝え聞いた。詳細、真意はいまもってわからないが。