居間のガラスケースに竹細工のトンボがあった。細が、松の剪定など、庭の手入れを仕込まれた先生に、トンボの竹細工も教わって作ったものだという。
日本の伝統の玩具らしい。
細い棒の柱に、蜻蛉の頭の先を、チョコンと載せると、均衡がとれて揺れながら安定している。
ところで、これとそっくりなものがベトナムにある。
ベトナムのものはカラフルだが、同じ仕組みだ。
蜻蛉玩具が、近代になって、一方から他方に伝わった可能性もなくはないが、古代にさかのぼって交流があった可能性もある。
トンボ愛好国として、中国をまたいで、日越はつながっている。
さらに、気になることがある。やじろべえのトンボ玩具同様、「均衡」という点からすると、トンボと「天秤」の関連が見逃しがたいのだ。
モンゴルで、3つあるトンボの呼び名のひとつ「ダムジグル ホルホイ」が「天秤棒のような昆虫」と訳せるのだ。
トンボが天秤棒を担いだ形にみえないことはないが、トンボを天秤という地域が欧州にあるのは面白いことだ。スペイン、ポルトガル、フランス、オランダ。libeluraとか、libelluleとか。いずれも、libra=天秤が語源になっている。
トンボを天秤とみる文化が、西ヨーロッパからモンゴルまでユーラシアで広がっている。
星座の天秤座と関係しているのだろうか。慌しい年末というのに、トンボにちょっと手を出したら、わからないことがドンドンでてきてしまった。