遅まきながら仙厓和尚の猫を知る

 なになに、チケットに猫の絵がー。初対面の美女に、出光美術館でひらかれている「仙厓と禅の世界」展の切符をもらった。
 
 猫がえがかれているのなら、ぜひ行かねば、と思う。この猫は、江戸時代後期の禅僧、仙厓義梵(1750-1837)の書画の一部だった。
 
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 化け猫やら、一癖ありそうな猫の絵が多い江戸時代にあって、猫好きがえがいたような猫。知らなかったが、著名な絵らしい。「南泉斬猫画賛」といって、猫が禅師に殺されるエピソードをえがいたものだった。
 
 とある猫のことが、僧たちの間で議論の的になっていたのを知った禅師は猫をつまみあげて、刀で斬り捨て皆の妄想をとりのぞいた、という中国の話らしい。
  
 例えていうと、お菓子をめぐって、子供たちが争っていたのを見て、親がけんかの元になった菓子をパクッと食べてしまうのと同じかな(ちょっと違うな)。
 
  仙厓和尚は、ヘタウマながら、猫を表情をこめて絵にしている。猫を、禅問答の「道具」としてでなく、「生き物」として、ちゃんとかいているので、この中国の禅師の行い自体を否定している、かのようだ。
 
 仙厓には、ほかにも、猫の絵があった。九州大学文学部図書館蔵。『猫の恋』。
 
 
 
 美濃に生まれ、博多で親しまれた禅僧は、「いぬの年祝ふた」「犬図」もあり、犬猫へのあたたかい眼差しを感じる。