装丁は小磯良平だった
南米ボリビアのコチャバンバ行きのバスの7人の乗客が、毒の木の実を食べ笑顔で死んでいたというNHKニュースが、この小説のポイントになっている。日本にも毒の木の実はある。トリカブト、ドクセリとともに、日本三大有毒植物とされる、ドクウツギ。
小説にも出てくる。「この辺(鎌倉)にも、毒うつぎの木は沢山あって、なかなかきれいな実ですが、みんな知っていて誰も手はつけませんからね」
そういえば、植物学者の故前川文夫氏が、ドクウツギで、壮大な説をとなえていた。ドクウツギは、世界でも、隔離分布している珍しい植物なのだという。接した地域に分布せず、飛び飛びに分布している。日本、フィリピン、ニュージーランドと。
それを前川さんは、こう解釈した。1億4550年前~6550万年前の白亜紀あたりに、ドクウツギが古い赤道=「古赤道」に沿って、生えていたためだ、と。地軸が変り、気候変動もあって、絶滅する地域がで、ドクウツギの分布が現在のようにまだらになってしまった。
小説に出てくる、毒の実は、やはりドクウツギなのだろうか。
(現在は、前川先生の説は、科学的に否定されているというが、スケールの大きさは今の学者はかなうまい)
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1億年以上も前の話は、実感が乏しいので、
せめてもと、恐竜展で昔、
もらったモロッコの小さな化石「直角石」を取り出して、握ってみる。
3億5000万年前のデボン紀。実感なーし。
ジャンボ宝くじ同様、億の単位は、我が事にあらず。