子どものころ、教会の日曜学校に、姉に連れられ通っていたことがあるが、とんと基督教のことを知らない。
昨年末、新しくなった上野の都美術館で「メトロポリタン美術展」を覗いたところ、聖書台を大きな鷲が背負っている、とても迫力のある大理石製の展示物に出くわし、びっくりしてしまった。
その時、なぜワシが聖書台を支えているのかが判らなかった。キリスト教徒や、キリスト教を知っている人なら、福音書記者=エバンゲリストの4人のマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネがそれぞれに、シンボルを持っているから、と分かるのだろう。
マタイ 有翼の人間
マルコ 有翼の獅子
ルカ 有翼の雄牛
ヨハネ 鷲
作者は、ジョヴァンニ・ピサーノとのこと。ジョバンニは、ヨハネのイタリア語読みではないか。
英語ならJOHNになる。例えば ジョン・レノンがそうだ。
仏語ならJEAN。ジャン・レノがそうだ。
イタリアは GIOVANNI
鷲の聖書台のことを、英語では、eagle lectern という。
教会には、鷲の聖書台がごまんとあることがわかる。
1301年前後、イタリアには、もう一人、ジョヴァンニの名を持つ有名なフランシスコ会の宣教師がいた。ジョヴァンニ・ダ・モンテコルヴィーノ。1299年元の大都=北京にカトリック教会を設立した人物だ。そもそも、元の皇帝フビライがローマ教皇に宣教師派遣を要請し、中国に向ったのが、モンテコルヴィーノ師。
大旅行の末、到着したときはチムルの治世に代わっており、布教後中国で亡くなったという。
力強い鷲こそ、ヨハネ、ジョヴァンニの強い意志を表わすのにピッタリだ。
さてこの聖書台に描かれた大理石の鷲は、どの鷲だろう。golden eagle 、イヌワシの仲間あたりだろうか。