ハヤブサと鷹狩

平安時代の古謡にクチが出てきた

仁徳紀に、日本の放鷹が「倶知(クチ)」という鳥で始まったと記されていること、そのクチは中国でハヤブサの別称「鹘(コツ)」であること、仁徳紀の鷹狩はハヤブサで行われたものだろうと、以前に書いた。 その後、東洋史学の白鳥庫吉(くらきち)氏の論文…

やっぱりね、トビはトビでなかった

遊びせんとや生まれけむ、の「梁塵秘抄」の374番の雑首に、こんなのがあった。 勝れて速きもの、鷂(はいたか) 隼 手なる鷹、瀧の水、山より落ち来る柴車、三所五所に申す言。 意訳すると、この世でひときわ速いのは、ハイタカという鷹、ハヤブサ、手に…

山田史はタカに縁があることが判った

日本書紀の述作者については、森博達さんが解明に近い分析をしている。「日本書紀の謎を解く」(中公新書)で、巻1から巻12までと、巻22、23は、山田史御方(やまだのふひと・みかた)が書いたとしている。 先に記した、金鵄の巻3、倶知という鷹の巻…

トビとハイタカが混線している

哀しきは、動物園の鷹たち。このトビも、捕えられなければ、大空で輪を描いていたろうに。前回、フランスのことわざで、「ノスリはハイタカにはなれぬ」というのを紹介した。人に懐いてしまうノスリは、頑張っても、気高いハイタカにはなれない、という意味…

本当かいな!ヘディンの見た鳶

ヘディン「さまよえる湖」(岩波文庫)を初めて読んだ時から、気になっている一節がある。ヘディンが、幻の湖ロブノールを探し、クム・ダリア川を進む時、1羽のワシタカ類を見つける箇所だ。 「『サル』というのはトルコ語で鳶のことをいうが、この名は皇帝…

隼人と満蒙ハヤブサ名と濃密な関係

国立劇場で仕事があって、九段下から千鳥ケ淵を通って歩いて行った。 サクラ 見事なり。 今年の花見は、これでおしまい。 ハヤブサのことを、調べ続けている。気になっていることがあるからだ。日本には、ハヤブサの名を持った人たちが居た。隼人。南九州に…

陛下、鶴が飛んでおります

モンゴルの鷹狩りについて、アレコレ述べてきたが、モンゴル帝国最盛期の鷹狩りについて、あいまいにしていた。マルコ・ポーロの「東方見聞録」を本箱から出して、パラパラめくった。 出てくる、出てくる。チンギス・ハーンの孫で、元朝の初代皇帝 フビライ…

解明!日本初の鷹狩りはハヤブサだった

森の多い日本では、鷹狩りといえばオオタカが愛用された。 きりりとした白の眉斑、白の胸に灰黒の横斑、とても美しいタカだ。 日本で好まれたのも、なるほどと思う。 山や森で、獲物の鳥を、蹠(あし)で掴み、抑え込んで捕る。 「獲物は、致命的な傷をオオ…

ヨルというヒゲワシを見損なった

モンゴルがまだ、社会主義だった頃、 北京から列車でモンゴルに入った。 ウランバートルで2泊した後、空港から飛行機で南下し、ゴビに向かい 1時間半ほどで、草原の天然空港に到着したのをよく覚えている。 ゴビの二日目に、タカを見に行くのだと、僕ら6…

トリプルA-鷹にも格があるようだ

偉大なるフィールドワーカー鳥居龍蔵が、明治44年に出版した「蒙古旅行」で、かわいいらしいタカの印を紹介している。 「鳥居龍蔵全集 第9巻」(朝日新聞社)に出て来た。 龍蔵は、東モンゴルの小巴林王府に至る途中ホトン・ヌ・アイラという村で、遼の時代の…

大伴家持の違法鷹狩りから伺えること

散歩に出た。池畔の道を行くと、梅がほころび、つぐみが跳ねていた。まだ寒いが春到来を感じてうれしくなる。 池にはキンクロハジロが多数。数年前まで多数派だったオナガガモがめっきり減って、キンクロハジロの天下である。冠毛が可愛いのでキンクロは好も…

アラブの鷹狩りも日本流

2年前、「アラブの鷹狩り(ARAB FALCONRY)」という本が英国で出版された。ROGER UPTONという英の鷹狩り研究家が、アラブ首長国連邦を中心に、アラブの鷹狩りを50年以上、現地で調査してまとめた224頁にわたる成果だ。 時間をか…

ROXY MUSICの鷹狩りジャケット

再び鷹狩りについて。 モンゴル、トルコ型=右腕 日本、韓国、欧州=左腕 と、鷹匠が鷹を止める腕が、民族によって左右の別があることを、言ってきた。 日本流の左腕のルーツが知りたくて、朝鮮半島の付け根あたりは、どうなのか、気になっていた。 最近、中…

カザフ鷹狩りの見事な写真に圧倒される

日本モンゴル協会発行の「日本とモンゴル」の最新号の表紙は興味深い。モンゴル西部の山岳地帯に住むカザフ人の鷹狩りの迫力ある写真が掲載されている。翼を広げたイヌワシの大きさ。右腕に止まらせている。 モンゴルのバヤンウルギーで、西村幹也さんが撮影…

続鷹狩り 日本は韓国流

鷹狩りについては、駒場の日本民藝館に行ったとき、発見があった。 朝鮮民画の展示で、鷹狩りの絵があったのだ。なんと、鷹を左手にとめている。日本と同じではないか。 現在も、韓国で鷹狩りは行われており、確かに左手にとめている。以下2つの記事参照のこ…

モンゴル鷹狩りの決定的な違い

モンゴルでの映画撮影で見た馬に乗った鷹匠。 右腕にイヌワシをとめて、狩猟する。 イヌワシを用いたモンゴル西部のカザフ族の鷹狩りはHPで確かめることができる。 http://archive.news.sina.com.tw/%E7%8D%B5%E9%B7%B9-%E8%BF%8E%E6%96%B0-%E5%9C%96%E6%9…